行政書士試験受験生が「法律の素人=自分」にも分かるようまとめた「成年後見制度」

 

行政書士の試験範囲である「成年後見制度」。

試験範囲であるという以上に、社会情勢的に重要になってくるトピックだと思いましたので、ちょっと力を入れて整理してみました。

 

目次

  1. 制限行為能力者制度の概要
  2. 成年後見制度の区分
  3. 制度利用の手続
  4. 成年被後見人 / 被保佐人 / 被補助人 …各区分の特徴
  5. まとめ

 

本編

1. 「制限行為能力者」制度の概要

「制限行為能力者」とは、

  • 未成年(20歳未満)や、
  • 成年被後見人被保佐人被補助人(詳細後述)

…の4つに類型化される方のことです。

これらの方は、「意思能力」(行為の結果を弁識するチカラにサポートが必要な状態であるために、「行為能力」(単独でした法律行為の結果を自分に帰属させるチカラに制限を設けています。この制限が、制限行為能力者本人やその関係者が思いがけない結果に困窮することがないよう、取引や日常生活における行動について、ある程度の取り返しがつく救済の役目を果たしています。

2. 成年後見制度の区分

成年後見制度は、次の3つの区分があります。

  • 後見 ― 後見人に丸っと全面的にお願いする
  • 保佐 ― 法定の「重要な財産管理行為」※全体を保佐人にサポートしてもらう
  • 補助 ― 法定の「重要な財産管理行為」※からいくつか選んだことだけ補助人にサポートしてもらう

この説明文は大雑把な表現なので、より正確で詳しい説明は「4. 成年被後見人 / 被保佐人 / 被補助人 …各区分の特徴」を読んで下さい。

他に、任意後見という区分があります(任意後見契約に関する法律)。これは、あらかじめ任意後見契約という公正証書の方式で作成する契約書を作っておいて、判断能力が不十分になったときの備えをしておくものです。

※ 「重要な財産管理行為」については、「4. 成年被後見人 / 被保佐人 / 被補助人 …各区分の特徴」のうち、被保佐人の項目で説明します。

3. 制度利用の手続

成年後見制度を利用するには、次のような手続が必要になります(参考:成年後見制度を利用される方のために(家庭裁判所)(PDF))。

(任意後見契約の作成(任意後見の場合に限り))

申立て

審判手続(審問 / 調査)

審判

  • 申立てには書類と手数料等が必要です。
  • 後見の場合は診断書が必要です。
  • 後見や補佐の場合は、調査の段階で本人の判断能力について鑑定を行う事があります。

申立ては、区分に応じて、以下の表に書かれた方達(本人 / 申立人)がすることができます。大まかに言って、本人配偶者(夫 / 妻)、四親等内の親族(たとえば兄弟の孫まで)、そして他の区分から移行してくる場合にはその区分のときの保護者(後見人等)が、することができます。

成年後見制度 審判を請求できる人 表

そして、本人 / 申立人は、手続を自分自身でするのでなければ、専門家に頼むことができます。任意後見契約の作成については弁護士、司法書士や行政書士に、申立てについては弁護士や司法書士です。

 

4. 成年被後見人 / 被保佐人 / 被補助人 …各区分の特徴

ここでは、成年被後見人、被保佐人、そして被補助人のそれぞれについて、もう少し詳しく見ていきます。

  • 成年被後見人

後見人に丸っと全面的にお願いする制度です。

精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者(民法第7条)

精神上の障害(認知症にんちしょう・知的障害ちてきしょうがい・精神障害せいしんしょうがいなど)により,判断能力はんだんのうりょくが欠けているのが通常の状態にある方を保護・支援するための制度( >> 法務省:成年後見制度~成年後見登記制度~A3)

たとえばアルツハイマー病の方について、妻が申立てをする事例があるようです。

成年後見開始の審判を受けたら…

単独でした法律行為(契約など)は、原則、取り消すことが出来ます。もっとも、日用品の購入などは単独でして取り消すことができません。

取り消しをすると、遡及的に無効となり(ほとんど「無かったこと」になる)、現存利益(手元に残っている物など)の範囲で返還しなければなりません。この取り消しの効果は、被保佐人や被補助人も同様です。

  • 被保佐人

法定の「重要な財産管理行為」※全体を保佐人にサポートしてもらう制度です。

精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者(民法第11条)

精神上の障害(認知症にんちしょう・知的障害ちてきしょうがい・精神障害せいしんしょうがいなど)により,判断能力はんだんのうりょくが著しく不十分な方を保護・支援するための制度です。( >> 法務省:成年後見制度~成年後見登記制度~A5)

たとえば中程度の認知症の方について、長男が申立てをする事例があるようです。

保佐開始の審判を受けたら…

原則、単独で法律行為(契約など)をすることができますが、たとえば次の行為は保佐人の同意が必要です。

「重要な財産管理行為」の例

  • お金を借りる
  • 保証人になる
  • 不動産の売買をする
  • 裁判をする
  • 贈与や和解をする
  • 新築や増改築をすること

保佐人の同意や家庭裁判所の許可を得ないでこれらの行為をした場合は、本人や保佐人が取り消すことができます。

また、本人の同意のもと、特定の法律行為(契約など)について、保佐人に代理権を付与する審判をすることができます。

  • 被補助人

法定の「重要な財産管理行為」※からいくつか選んだことだけ補助人にサポートしてもらう制度です。

精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者(民法第15条)

軽度の精神上の障害(認知症にんちしょう・知的障害ちてきしょうがい・精神障害せいしんしょうがいなど)により,判断能力はんだんのうりょくの不十分な方を保護・支援するための制度です。( >> 法務省:成年後見制度~成年後見登記制度~A7)

たとえば軽度の認知症の方について、長男が申立てをする事例があるようです。

補助開始の審判をする場合には…

「重要な財産管理行為」(前述)の中から選んだものについて、補助人に同意権か代理権、またはその両方を付与する審判をしなければなりません。そして、同意権を付与したら、同意や家庭裁判所の許可を得ないでこれらの行為をした場合は、本人や補助人が取り消すことができます。

  • 成年被後見人と被保佐人・被補助人の違い

成年被後見人がほとんどいつも判断能力が欠けているのに対して、被保佐人や被補助人は、いつもとは言わないまでも判断能力が十分でない場合に制度利用となるようです。その結果、成年後見人は全般的に後見人のサポートを受けるのに対して、被保佐人や被補助人は、サポートを受ける範囲が限定的になっています。

被保佐人と被補助人は、民法上は程度の違いしかありません(文言上、判断能力について、被保佐人が「著しく不十分」に対して、被保佐人は単に「不十分」、と「著しく」が付くかつかないかの差しかない)。よって、制度上、サポートを受ける範囲の違いに着目して、どちらがよりフィットしそうか、専門家のアドバイスによって選択することになりそうです。

5. まとめ

現実問題としては、とにもかくにも、信頼できる保護者を選任できるかどうかという所にかかってくると思います。今日日、横領に走る弁護士さんもいると聞きます。。

今後、もう少し厚みを増したいと思いますが、今日はひとまずこの辺で。。

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